泣く男

10月18日(土)新宿バルト9,丸の内TOEI他全国ロードショー

Introducthin

『アジョシ』のイ・ジョンボム監督が贈る、新たなる男の“カタルシス”

  • 01
    贖罪のために絶望的な闘いに身を投じる“泣く男”に秘められた慟哭の真実とは——

    心を通わせた少女を救出するため、決死の闘いに挑む元特殊要員の壮絶な運命を描き、2010年の韓国で年間NO.1の大ヒットを飛ばした『アジョシ』。主演俳優ウォンビンに同国のアカデミー賞とも呼ばれる大鐘賞の主演男優賞をもたらし、アクション・エンターテインメントの旗手として一躍脚光を浴びたイ・ジョンボム監督が、アジアのスーパースター、チャン・ドンゴンとタッグを組み、またもやダイナミックにこのジャンルの新たな地平を切り拓く最新作『泣く男』を完成させた。
     物語は、冷徹な殺し屋が犯した想定外のミスから始まる。アメリカのナイトクラブでの任務遂行中、誤って幼い少女ユミを巻き添えにしてしまったゴンは、やるせない罪悪感に囚われ、生きる気力さえも失っていく。そんなゴンが雇い主である犯罪組織と訣別するため、最後の仕事として請け負ったのは、ユミの母親モギョンを葬るという非情なミッション。しかし祖国の韓国に舞い戻り、最愛の娘を亡くしたモギョンの苦悩に触れたことで、封印していた忌まわしい記憶が脳裏に甦ったゴンは、ある痛切な決意を胸に秘めて組織との死闘に身を投じていくのだった……。
     『アジョシ』で画期的な成功を収めたイ・ジョンボム監督は、ウォンビンが演じたテシクに続いて“哀しき宿命”を背負った新たなる主人公ゴンを創造。銃撃シーンなどへの並々ならぬこだわりはそのままに、人物描写とドラマ面の強化を試み、より苛烈で激しく、よりエモーショナルなアクション映画の高みをめざした。『アジョシ』のテシクは感情の揺らぎを見せないストイックなキャラクターだったが、本作でチャン・ドンゴンが演じるのは殺し屋として捨てたはずの“情”を呼び覚まされ、逃れられない罪の意識やトラウマにあえぐ男。『アジョシ』とまったく異なるストーリーや登場人物を描きながらも、両作の孤高の男たちの魂の叫びが生み出すカタルシスは合せ鏡のように共鳴し、観る者の胸を撃ち抜くアクション・ノワールとなった。

  • 02
    ハリウッド・アクションにも匹敵する、圧倒的なスピード感と切れ味で炸裂する銃撃バトル!

    『ブラザーフッド』『PROMISE プロミス』『マイウェイ 12,000キロの真実』などで過酷なドラマやアクションを経験してきたチャン・ドンゴンは、本格的な殺しのプロフェッショナルになりきるため、アメリカの特殊部隊でのトレーニングを含む約5ヵ月の役作りを実施。主人公ゴンを演じるうえで必要不可欠な俊敏さや瞬発力、銃器やナイフを扱う手慣れた仕種をマスターするとともに、持ち前の繊細な表現力を遺憾なく発揮。映画の序盤で恐ろしいほどの殺気をみなぎらせていたゴンの鋭い瞳に、やがて孤独と悲哀がにじみ出すキャラクター変容の劇的なプロセスを、まさしく入魂の演技で体現している。
     そんなチャン・ドンゴンが凄みたっぷりに醸し出す情感と完璧に一体化した、驚くべきアクション・シーンの数々にも圧倒されずにいられない。とりわけヒロインのモギョンを保護した警察の隠れ拠点であるアパートに、ゴン、韓国人ギャング、組織が放った最強の殺し屋3人が入り乱れる白昼の見せ場には、観る者に瞬きすら許さない緊迫感が充満。ハイテク・タワービルを舞台に息づまる駆け引きと最後の決戦が繰り広げられるクライマックスとともに、最上級レベルのハリウッド・アクション大作にも比肩しうる濃密なバトル・シークエンスに仕上がった。
     『マルティニークからの祈り』『悪魔を見た』のイ・モゲ(撮影監督)、『容疑者X 天才数学者のアリバイ』『アジョシ』のイ・チョロ(照明)、『ファイ 悪魔に育てられた少年』『新しき世界』のホ・ミョンヘン(武術監督)など、イ・ジョンボム監督を強力にバックアップするスタッフも一流揃い。宮部みゆきの傑作ミステリーの映画化『火車 HELPLESS』で女優としての新境地を開いたキム・ミニが、悲運の母親モギョンに扮し、深みある演技を披露しているのも見逃せない。
     そして本作に『泣く男』というアクション・ノワールらしからぬタイトルがつけられた秘密はエピローグに隠されている。人生に絶望した殺し屋ゴンは、なぜ命を賭してまで組織を裏切り、無謀な闘いへと突き進んでいくのか。それは死に場所を探し求める男の破れかぶれの選択か、それとも贖罪を果たすためなのか。決してヒーローではない傷だらけの哀しき男が行き着くラスト・シーンには、あらゆる観客の心を揺さぶってやまない慟哭の真実が刻み込まれている。